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高森明勅
2019.8.26 06:00皇室

「付和雷同」の重層構造

昭和天皇が「戦争防止の困難だった一つの原因」とされた
国民の「付和雷同性」。

あるテーマについて、皆が同じように反応する。
同じように反応しない者には強い「同調圧力」が掛かる。
或いは“圧力”を先回りして感じ取り、自ら進んで同じような
反応をしてみせる。

更に、積極的に圧力を掛ける側に無意識のうちに回る。
それらの相乗作用によって、いわゆる「空気の支配」が生まれる。
それが「付和雷同性」の正体だろう。しかし、注意しなければなら
ないことがある。
それは一見、世間の大勢(たいせい)に真っ向から逆らっているかの
ような人々が存在する場合だ。
これらの人々こそ、付和雷同性を免れた立派な“お手本”のように見える
かも知れない。
しかし、実はそうではない可能性がある。
国民の多数から孤立した人々の“グループ内”のより強烈な同調圧力に
よって、外からはそのように見えているに過ぎない場合が、しばしば
あるからだ。

その場合、これも又“もう一つ”の付和雷同と言わざるを得ない。
付和雷同性にはそうした重層構造がある事実に気づく必要がある。
そこに共通しているのは、“個人としての自覚”が希薄か、又は殆ど
喪われていることだ。

昭和天皇が「教養」と「宗教心」の大切さを強調されたのも、
個人の自覚を支えるバックボーンとして、それらが有益であると
お考えだった為だろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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